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受動的な能動UXを考える

2025-08-01

アプリは無限に通知を送り、ToDoリストは肥大化し、積みゲーは積まれるだけ積まれていく。 日々それに対応したりしなかったり、 MPを切らして何もしないなんてことを繰り返しつつ、場当たりに Steamルーレット なんかを作っていた。 が、根本的な解決を考えてみようと思った。

問題

人間は選択肢が多くなると、かえって不幸になる。

Barry Schwartz の『選択のパラドクス』1でも指摘されたように、 「選べる自由」はときに「選ばなければならない義務」へと反転する。 現代の知的労働者にとって、膨大な選択肢は処理リソースを食いつぶし、 無力感や先延ばしを生み出す温床となっている。

それを防ぐため、ジョブズは同じ黒のタートルネックを着るし、イチローは毎朝カレーを食べていた。

選択トリクルフロー

ここで「選択トリクルフロー(Selection Trickle Flow)」という設計を考えてみる。 これは「選択肢の洪水をせき止め、ユーザーの意志を尊重しながら、少しずつ水のようにタスクや行動を流し込む仕組み」だ。

利用できそうなアイデア

  • トリクル(Trickle):一度に全てを出すのではなく、段階的に提示する。
  • ナッジ(Nudge)2:ユーザーの意志決定をサポートするが、強制はしない。
  • サプライズ(Surprise):ランダム性や意外性を通じて関心を引きつける。
  • 自己決定感(Autonomy):最終的には「自分で選んだ」と感じられる余地を残す。

アイデアの元となった実例

  • さんぽ神
    • ランダムな散歩行動を提示するアプリ。選ぶ必要がなく、探索の驚きと気軽さがある。
  • Steamルーレット
    • 積みゲーの山から1本だけを無作為に提示する。選択を代行しつつ、自身で選んだような納得感がある。

共通する要素としては、「選択肢をすべて見せない」「あえて未知を提示する」「でも自分ごととして受け入れられる」点。

「とりあえずやる」ことの価値

私たちはしばしば完璧な選択や最適な計画を求めて立ち止まってしまうが、実際には多くの場合、行動そのものに価値がある。

  • 計画よりも行動を優先する
    • 「何をやるか」以上に「とにかく何かをやる」ことに価値がある局面は多い。
    • 計画(Plan)に時間を費やしすぎると、行動(Do)のフェーズが永遠に来ないリスクがある。
  • ランダムな提示による行動喚起
    • ランダムにタスクを提示されることで、逡巡から解放され、すぐに実行フェーズに移れる。
    • 結果として、計画の精度よりも「行動した事実」そのものが成果につながる。
  • 計画地獄からの脱出
    • 選択の回避は、計画地獄からの脱出でもある。
    • このように、選択トリクルフローは、計画より実行を優先するマインドセットへのトリガーとして機能し、「やること自体が重要」という価値観をUXに落とし込むことができる。

納得感の出所

  • 選択肢の「自分由来感」
    • 完全に他者に与えられたものではなく、「自分の入力(ゲームライブラリや習慣リストなど)に基づいて出てきた結果」であると感じられるとき、納得感が生まれやすい。
  • 選択疲れの回避
    • 多くの選択肢から無理に選ぶよりも、1つだけ提示されるほうが「負荷が軽く済んだ」という身体的・認知的な安心感がある。
    • これにより「今回はこれでよかった」と自動的に受け入れやすくなる。
  • 意味づけのポテンシャル
    • 少しだけ「余白」がある選択肢(=なぜこれが選ばれたかを自分なりに解釈できる余地)があると、人間はそこに意味を構築してしまう(ナラティブ構築バイアス)3
    • 結果として「たしかに今これが必要だったのかも」と思えてしまう。
  • コンテキスト適合性
    • その場の気分、時間帯、コンテキストに適した選択であるように感じられると、自然な流れのように受け入れられる。
    • これは「選ばれた理由が無意識的に説明可能である」ときに生じる。

具体的なフロー案

  • 行動候補が裏で抽出される(ステルスフィルター)
    • ユーザーは自分で選ぶのではなく、システムが過去の行動履歴や優先度、感情的距離などを加味して候補を水面下で選別する。
    • 例:未完了のタスクや頻繁に先延ばしされている項目、優先度が中くらいのものなど
  • ごく一部に「成長促進型」タスクを混ぜる
    • 通常の行動候補の中に、既存のタスクに関連するあえて少しだけ負荷の高い、コンフォートゾーンの外にある行動(例:初対面の人に連絡、初めての場所に行くなど)を確率的に混入させる。
    • 「安全だけど飽きる」から脱却し、偶発的に成長を促される。
  • 全てではなく、少数を提示する(トリクル構造)
    • 事前に選ばれたタスクのみが提示される
    • ユーザー自身が明確に決めたわけではないが、最後に残ったものを自分の選択として受け入れやすい曖昧な主体性を保つ。
  • 選ばれた後に「意味」が与えられる(ナラティブ補完)
    • 「あなたはこれを3日間避けていました。でも今日は向き合えるかもしれません。」
    • 「昨夜の睡眠時間を考慮して、今日は軽めのタスクが選ばれました」
  • 小さな報酬や可視化された影響
    • 選択されたタスクに対して、アニメーションやグラフの変化、ポイントの獲得などを与えて「進捗感」や「意味のある決断」を演出。

まとめ

結論などはない。多分開発チームのタスク実行などにも応用できるはずだが、まだそのイメージが無い。